生まれて初めてのアートのために
〜L'art que c'est la première fois pour les femmes au japon〜

 
雛人形は100人以上の職人がかかわることもあります。
ひなまつりの大切なお人形はたった一人でできるものではないのです。
たくさんの職人が関わる雛人形の製作を、
ひとつのイメージのもとにつむぎあげていく。
女の子が初めて手にする「アート」のために。


西陣織の色合いを生糸の糸数で加減する。
その雛だけの色が生まれる。
衣装の風合いを生かすための着せつけをする。
職人さんには、生地の声が聞こえる。
お人形にあわせて、お花の色を染める。
こてをかけると、ひとつひとつ花が咲いていく。
小さなとっくりを昔ながらのろくろで削り出す。
何代も続いてきた伝統のやり方で。
台の仕上げには、昔ながらのカンナを使う。
手の感覚だけをたよりに。
ずいぶん手間はかかるけれど、
その方が、木が生きてくるから。

御神木に使われる森の
樹齢300年のひのきを使う。
ずいぶんな時間がかかって、ようやくおひなさまの一部になる。

やがて一つの雛になるために、
たくさんの時を経て、
たくさんのまなざしを通して、

やがてひとつの雛になるために、
たくさんの手に磨かれて

やがて一つの「おひなさま」に
なるために。